おすすめの一冊(広報かみしほろNo.521)

アイコン976平成23年9月14日 更新

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概要

地のはてから(上・下巻)

乃南アサ 著

 読み終えて思ったことは、母や祖母、そして曾祖母たちの人生だ。
 この本は、大正初年に福島県郡山から北海道イワウベツ原野(宇登呂)に入植する家族の長女「とわ」を主人公に描いた小説である。とわの父は株に失敗し、本家にまで迷惑をかけて夜逃げする破目となる。父の手には「北海道移住手引書」があった。
 イワウベツでの生活は、苦労の連続だった。元々冷涼な気候のため農業に適さない上に、毎年バッタの襲来を受け、開拓は進まない。やがて、開拓は断念することとなる。その後、父の死、母の再婚、口減らしのための商家への奉公、結婚、商売、出産、戦争、そして戦後の生活と続くが、とわの人生に、幸せがどれほどあったのか疑問に思えてくるのだ。ただ、確実に言えるのは、女の強さが強調されていることだ。男はと言えば、全く軟弱で、あまりに脆く描かれている。
 本町は開町80周年を迎えた。私たちの町にも数多くの「とわ」達がいたこと、そして現在もいることを、改めて認識すべき年である。
 作家・林真理子氏は本作を「何もないけど、平凡でない人生」と評している。


おすすめの一冊
広報かみしほろの「としょかんだより」で毎月1冊紹介している書評コーナーです。


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